再審査証の発効日前の行為に関する賠償責任を免責する中用実施権

| December 29, 2010

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バージニアの西地区地方裁判所のNorman K. Moon判事は、University of Virginia Patent Foundation v. General Electric Company, et alのケースで、GEは、米国特許法252条に基づく中用実施権(intervening rights)を有していいるので、再審査証の発行前において米国特許5,245,282 (“282特許”)のクレーム1を侵害しないと判決した。換言すると、GEは、282特許の発行時から再審査で有効な特許になるまでの17年に及ぶ期間について実施権を得たことになる。

一般にこの実施権は、査定系再審査の間に問題の特許クレームが補正され(非実質的な補正では足りない)あるいはクレームが追加された場合に与えられる(米国特許法307条および252条)。しかしながら、本ケースでは、問題のクレーム(クレーム1)は再審査手続きで補正されていないし、クレームが追加もされてもいない。他方、再審査でクレーム1の或る文言を明確にするため、再審査手続きでクレーム4が削除された。これにより唯一変わったのはクレーム1の範囲(解釈)である。

米国特許法307条(b)項は、再審査証の発行前の侵害被疑者に対する再審査特許の効力を規定している。この条項が252条の権利を生じさせる。Moon判事は、クレーム4の削除の結果、クレーム1は事実上補正され(amended in effect as a results of ….)、これによりクレーム1の範囲が変わったので、本ケースに307条が適用されると判断した。

「事実上補正された(amended in effect)」とはどういうことか? このようなタイプの補正は 307条(b)項には記載されていない。307条(b)項は、次のように規定している。「再審査手続きに従い、特許可能または追加可能と判断された如何なる補正案も新クレームも、本条(a)項の再審査証の発行の前においては、そのような補正案または新クレームで特許されたものを米国内で製造、購入もしくは使用または米国へ輸入あるいは実質的な準備を行った者の再発行特許の権利に関し、252条に規定のものと同じ効力を有する。」

Moon判事は上記の点を認識した上で、「本裁判所は、Patent Foundation が正式な補正によらず、クレーム1の不完全な記載を利用して間接的にクレーム1の意味を変えることにより252 条と307条(b)項を回避することは許さない」と述べた。したがって、Moon判事によれば、クレーム1は252条が規定する効果を有するところ、252条は「発行されたオリジナル特許の放棄(surrender)は再発行特許の発行で効力を生じ…オリジナル特許と再発行特許との間でクレームが実質的に同一である場合に限りにおいて、同じものがその補正形式で最初に特許されたものと扱う….」と規定している。換言すると、再発行特許の発行日より前の特許侵害に関する行為は、オリジナル特許と再発行特許とが「実質的に同一」である場合に限り、訴訟原因となる。

本ケースでは、オリジナル特許と再審査特許とでクレーム1の文言は同一であり、クレームの範囲が変わっただけである。

252条によると、クレームが同一である場合、中用使用権は存在しない。このことは本ケースにも明らかに当てはまるはずである。なぜならクレーム1の文言は実際に変わっていないからである。また、Moon判事がオピニオンの中で依拠した各判例は、再審査でクレーム文言が補正された状況を伴っている。以上のシナリオの中で、この裁判所はGEに中用実施権を与えたことを正当化できるであろうか?

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