NEW INTER PARTES REEXAMINATION RULES

| September 22, 2011

改正後の当事者系再審査の適用と新制度

中村義哉 編訳

当事者系再審査の経過措置と新制度の適用時期

2011年9月16日に発効したAmerica Invents Act (以下AIAという)の下、当事者系再審査請求および対応する新制度の取り扱いは下記のようになります。

  • 2011年9月16日より前に再審査請求された場合

従来通り、特許庁に請求書が受理されて再審査が開始されるための要件は、特許性についての実質的に新しい疑義(substantial new question of patentability;以下SNQという)があるか否かである。その再審査手続の最後まで、SNQの基準が適用される。

  • 2011年9月16日以降、2012年9月16日前まで(AIA発効から一年未満)に再審査請求された場合

SNQの基準ではなく、合理的な見込み(reasonable likelihood)の基準が適用される。この基準で審査開始された再審査は、最後まで同基準が適用される。

  • 2012年9月16日以降(AIA発効から2年以降)に再審査請求された場合

この場合、特許庁は再審査請求を受け付けない。すなわち、当事者系再審査請求に代わり改正法で導入された当事者系レビュー(Inter Partes Review)のみ認められる。当事者系再審査請求制度を規定する35 USC 第31章は、2012年9月16日以降は適用されない。当事者系レビューは、再審査請求とは異なるルールで施行される予定である。

上記のように、2011年9月16日以降に請求された当事者系再審査では、従来のSNQの基準はもはや適用されません。そして、改正法下では、SNQの基準ではなく、新しい基準が適用されることになります。新しい基準の下、事者系再審査開始の要件として、請求書で争われる少なくとも1つのクレームについて請求人の主張が通る(prevail;換言すると、審査官は拒絶理由を出すであろう)という合理的な見込み(reasonable likelihood)が要求されます。つまり、請求書にそのような情報が提示されていることが要件となります。

合理的な見込み(reasonable likelihood)の基準について、下院レポート(House Rep. 112-98 (Part 1), at 47, 112th Cong., 1st Sess.)に下記の記述があります。

“当事者系レビューの基準は、現在請求書の95%が満たすとされるSNQの基準から引き上げられ、合理的成功の見込み(reasonable likelihood of success)を示す情報を要求する基準に変更するものである。”

 そして、合理的な見込みの基準とは何かというと、次の記述があります。

 “引用特許または刊行物に基づき、請求書で争われる少なくとも1つのクレームについて請求人の主張が通ること(prevail)の合理的な見込みを示す記載(statement)、およびその特許または刊行物が再審査対象のクレームに対してどのように関係するのか、あるいはどのように適用するのかについての詳細な説明(detailed explanation)”

(セクション1.915(b)(3)参照)

 分析

現在の時点で、SNQ基準が合理的見込みの基準に代わった結果どのような影響が生じるかを予測することはほとんど不可能ですが、上記下院レポートにあるように、「基準を引き上げる(elevate)」という表現に基づくと、新たな基準により受理(granted)される請求書の割合は低くなると予想されますが、クレームの拒絶に至る請求書の数は変わらないであろうと予想されます。つまり、拒絶に直結しやすい請求書のみが受理されることになり、入り口は絞られますが、そのような請求書である限り、最終的な結論は変わらないと予想されます。

新しい当事者系レビューと異なり、当事者系再審査は、当事者間の合意で終了させることはできません。さらに、当事者系レビューの後、その請求人はその手続において実際に提起されたか(was raised)あるいは合理的に提起可能であったであろう(reasonably could have been raised)根拠に基づいて特許無効を主張することは、その後の民事訴訟、PTO、ITCの手続でエストッペルになるためできません。これに対して、当事者系再審査の後は、その手続で実際に提起された提起されたかあるいは提起可能であったであろう(could have been raised)根拠に基づいて根拠にエストッペルが働きます。このように「reasonably」があるか否かの相違ですが、当事者系レビューでは明らかにエストッペルの範囲が広がります。2012年9月が近づく頃は、これらの点を考慮して、再審査請求にするのか、当事者系レビューにするのかを検討する必要がありそうです。

 また、当事者系レビューの制限として、その請求前に、その当事者が特許の無効を主張する民事訴訟(例えば、反訴でない確認訴訟)を提起していた場合、当事者系レビューの請求が認められません。2012年9月が近づく頃は、この点にも注意しなければなりません。

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