再審査でのクレーム補正に起因する損害賠償の免責

| January 24, 2011

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再審査で特許権者が直面する大きな問題は、先行技術を克服するためにクレームを補正する必要が生じるかも知れないが、その反面そのようなクレーム範囲の変更によって、再審査以前の期間すべてについて損害回復の機会を失う可能性があることである。たとえイ号製品が元の特許クレームと補正後のクレームの双方の範囲内であっても、侵害者は「中用実施件(intervening right)」を有する。また時として、クレーム補正から再審査終了まで時間が経過する間に、侵害者に補正クレームを回避するデザイン変更の時間を許し、あるいは市場が別の技術の方向へ動き出すこともあるであろう。

先週、特許庁再審査で必要とされることと、後日訴訟で生じる不都合な結果の間のテンションが明白となった。

Antonious v. Roger Cleveland Golf Companyの事件で、カリフォルニア中地区地方裁判所のCarney判事はその略式判決において、争われた特許の再審査証の発効日(2010年1月5日)より前に生じた如何なる侵害行為に対しても特許権者は損害回復できないと判示した。[1] Carney判事は、重要な特許が2つの面で再審査で補正され、その結果、発行時の元の特許とは「同一(identical)」ではないと認定した。特許権者は補正事実を認めたが、クレーム範囲は実際には変わっていないと反論した。これに判事は同意せず、特許権者が先行技術に基づく拒絶を克服するために補正に言及し、審査官はその補正によって拒絶解消を認めたと認定した。

特許クレームの補正による損害賠償喪失は、再審査での特許権者の意図(マインド)、すなわち、反論ではなくクレームの補正により先行技術拒絶を回避するという目論見に基づくものである。今日のEx parte Frise事件の例では、特許権者は電話呼出し待ち装置のクレームは2つの面で先行技術と相違していると主張したが、特許庁の審判官合議体はこれに同意せず、特許権者が依拠しようとする相違はクレーム上に現れておらず、これは限定事項を書き換えることと同然であり許されないと判示した。さらに、特許クレームはその文言から明らかである意味とは異なる解釈が与えられるべきであるという特許権者の主張は、その限定を行うためにクレームを実際に補正することに対する不適切な代替行為であると述べた。少なくともこのケースで特許庁審判官は、特許権者に寛容ではなかった。


[1]  特許はメタルウッドゴルフクラブの空力に関するものである。原告の Antonious氏は、ゴルフ分野の発明家としておそらく最も有名な人物であり、評判のいい紳士として広く知られている。

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