最初が肝心:不備のない再審査請求書を作成するために

| March 1, 2010

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弊事務所は、過去数年間に請求された多くの再審査請求事件をレビューしてきましたが、かなりの割合で請求書が、何らかの記載不備を理由にUSPTOに受理(grant)されなかったことが分かりました。

このような問題を防ぐとともに、PTOにより請求が拒絶(denied)される事態を避けるために、弊事務所では、PTOルールに基づく再審査請求書の要件のチェックリストと、不備のない再審査請求書を提出するための助けとなる実践的なチェックリストを用意しました。以下では、その基本的な部分を紹介しましょう。

まず、再審査請求書の方式的要件として、連邦規則1.510(所謂ルール510)に下記5つの要件があります。

1. 先行技術文献(特許文献、公開公報)に基づくSNPQ(特許性に対する実質的に新たな問題)をすべて提示すること。

2. 再審査請求の対象となるすべてのクレームを特定し、それらに適用する文献の先行技術文献としての適切性、および、適用の仕方を詳細に説明すること。もし適切であれば、クレームがどのような点で先行技術と異なるかについても言及してもよい。

3. 上記1.2のすべての引用先行技術文献のコピーのほか、英語以外の言語書かれている先行技術文献には、関連するすべての部分の英訳を添付して提出すること。

4. 再審査請求の対象となる特許の全体のコピー(1ページ2カラム形式のもの)を提出すること。さらに、対象の特許に対して出されている権利放棄書、特許訂正証明書(certificate of correction)、再審査証明書(reexamination certificate)があれば、それらすべてのコピーを提出すること。提出物はすべて、片面印刷でなければならない。

5. 特許権者以外の者が請求する場合、再審査請求書のコピー全部を連邦規則1.33(c)で特定される特許権者の住所に送達した証明を添付すること。また、送達を 受ける相手の名称と住所も必ず記載すること。

さらに、「当事者系」再審査請求書の要件として、連邦規則1.915(所謂ルール915)に、以下があります。

6. 連邦規則1.907にある当事者系再審査請求を禁止するエストッペル事由に該当しないことを示すこと。

7. 当事者系再審査請求の利害関係がある当事者であることを示すこと(査定系では不要)。

さらに、弊所では、請求者であるクライエントに、下記のアドバイスもします。

• 連邦規則に従ってセクションと各意見を表示した目次を設けること。

• 請求を行う前に、請求書に引用する主要な引用文献と、過去の審査で引用された主要な引用文献とを比較すること。これは、新しい観点(つまり、新しい方法で判断される引用文献) が過去の審査で考慮された観点よりも適切であり、つまり判断事項が重複していないことを強調するためです。

• KSR判決(KSR Int’l Co. v. Teleflex Inc., 127 S. Ct. 1727 (2007))を引用するとともに、過去の審査で引用された先行技術文献を技術的に「新たな観点」から説明すること。これは特に、過去のプロセキューションの自明性拒絶理由でTSM (teaching-suggestion-motivation)分析が示され、これを出願人が反論して克服している場合に重要です。

• 引用する先行技術文献は関連性があるものに限ること。再審査請求で引用されたにもかかわらずPTOに利用されない文献が出てくると、後に特許権者が、そのようにPTOが利用しなかった文献なのだから関連性がないと主張する可能性が出てくるので、そのような状況を防ぐためです。換言すると、PTOが利用しそうにもない重複する文献を多数引用しないこと。

• 1つのクレームに対し、先行技術文献を1つずつ変えて適用すること。例えば、文献Aに文献Bを考慮してクレーム1は自明か、次に、文献Aに文献Cを考慮してクレーム1は自明か、と問います(ここで、いきなり、文献Aに文献CまたはBを考慮してクレーム1は自明か、としないこと)。

• 先行技術との比較を詳細に示すクレームチャートを提出し、PTOの負担を軽減すること。ここでクレームチャートは、訴訟の有効性判断で利用される比較表と同様に、対象の特許クレームを構成要件ごとに分けて記載し、それぞれ対応する先行技術文献中の開示等を示す一覧表です。

• 先行技術文献内の関連ある開示・教示は、コラム番号、行番号、および関連ある図面の番号を表記して引用すること。また、そのような引用表記は、拒絶理由ごとに行い、まとめて行わないこと。

• 先行技術文献に意味が不明確な部分がある場合、技術専門家による宣誓書を添付し、それは何を開示しているのか、そしてどのように特許クレームに適用したのかを説明すること。ただし、宣誓書の内容は、当請求書内に記載するクレーム解釈や、関連する過去または現在進行中の訴訟で請求者が述べたことと矛盾しないように注意すること。

以上

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